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アトピー性皮膚炎の眼症状
アトピー性皮膚炎は、遺伝的な体質に加えて食生活や住環境、ストレスなどさまざまな増悪因子でおこるといわれています。最近では大人になっても症状が長引いたり、悪化する方が増えています。その原因として特にハウスダストを代表とするダニ抗原が問題となっています。
<アトピー性皮膚炎に伴う目の病気>
- 1.眼瞼炎(52.5%)
- 2.結膜炎(39.5%)
- 3.白内障(23.8%)
- 4.角膜上皮障害(11.6%)
- 5.網膜剥離(2.1%)
出典元:アレルギーシンポジウム~アトピー性皮膚炎と食物アレルギー~の講演記録(平成19年9月開催)
参照サイト:厚生労働省 アレルギーシンポジウム
<各論>
1.アトピー性眼瞼炎
○症状
目がかゆい、目のまわりが赤い、目がはれている、目のまわりやまぶたに湿疹がある、目のまわりが乾燥したりただれている、など。
これは、アトピー性皮膚炎の症状が目のまわりの皮膚にも起こったものです。ヘルペスウイルスによるカポジ水痘様発疹症(重症)をきたすこともあります。かゆみが強いためにまぶたをこすったりたたいたりすると、他の合併症の原因にもなるため、薬でかゆみをコントロールすることが重要です。
2.アトピー性角結膜炎(春季カタル)
○症状
目がかゆい、目が赤い、目やにが出る、白目がはれている、目がごろごろする、春になると症状が悪化するなど。
角結膜(黒目と白目)に起こるアレルギーによる炎症のことです。重症化して角膜障害を起こすと視力にも影響を及ぼします。また、春から夏にみられる重症のアレルギー性結膜炎を春季カタルといいます。
3.アトピー性白内障
○症状
最近視力が落ちた、物がかすんで見える、まぶしい、物が二重に見える、左右の目で見え方が違う、など。
カメラのレンズに当たる水晶体が白く濁った状態を白内障といいます。一般的には加齢によるものが多いのですが、若い人にでもアトピー性皮膚炎の合併症として起こることがあります。
4.角膜上皮障害
○症状
目が痛い、ごろごろする、目が赤い、天気がよいとまぶしくて目を開けていられない、など。
角結膜炎に続発するケースが多く、黒目の表面にキズがつき、ひどい場合は角膜潰瘍(シールド潰瘍)や変性上皮塊(角膜プラーク)が出現します。
5.網膜剥離
○症状
かゆいとき顔や目のまわりをこすったりたたいている、ごみのようなものが見える、視野に欠けた部分がある、物がゆがんで見える、最近視力が落ちた、アトピー性白内障と診断されたことがある、など。
カメラのフィルムに当たる網膜がはがれてしまう状態を網膜剥離といい、はがれた網膜に対応した部分の視野が欠けるため、重症の視力低下を招くことがあります。白内障を合併している場合、発見が遅れやすいため注意が必要です。
6.その他
○円錐角膜
角膜の一部が薄くなるために、角膜が円錐状に前に突出して、近視と乱視を起こす病気です。目をこする刺激が原因のひとつであると考えられており、利き手と同じ側の目(利き手が右手なら右目)のほうが早く症状が現れ重症化しやすいといわれています。
加えて、アトピー性皮膚炎の皮疹部にはメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)を含むブドウ球菌、肺炎球菌感染などが多くに見られるため、目の手術を受ける際、術後感染症への配慮が必要です。
<かゆみをコントロールするための対策>
A.かゆみの原因は、飲食物、衣服、日光、入浴時のナイロンタオルなど、人によってさまざまです。自分のかゆみの原因を認識し、回避しましょう。
B.皮膚のケア:肌を清潔に保ち、乾燥から守ることが大事です。今のスキンケアを見直してみましょう。
C.お薬:抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、外用剤(タクロリムスやステロイド軟膏)などの薬を上手に使って、かゆみを抑えましょう。
※アトピー性皮膚炎で、上記の症状の強い方は早めの眼科・皮膚科受診をすすめます。